株で10億円を目指すためには、株式投資に必要な知識を身につけることが不可欠です。今回は、M&A(企業の合併・買収)について深く探っていきます。概要欄にホームページのリンクを貼っていますので、そちらで話した内容を文字で確認しながら動画をご視聴いただけます。それでは、授業を始めます。

財務諸表の種類

株式投資を行う上で、財務諸表を理解することは重要です。財務諸表には2種類あります:個別決算書と連結決算書です。個別決算書は会社単体での決算を示しており、連結決算書はグループ全体の決算を示しています。会社が他の会社の株式を取得し、親会社としてグループを形成する場合、連結決算書が重要になります。

親会社が株式を20%以上50%未満保有する企業は持分法適用会社と呼ばれ、50%以上保有する場合は連結子会社または単に子会社と呼ばれます。これらの企業を合わせてグループ会社または関係会社と呼び、親会社が100%保有する場合は完全子会社と呼びます。

持分法と連結法の会計処理

持分法適用会社や子会社の会計処理には、持分法と連結法があります。持分法では親会社の影響力に対応する形で安分して親会社の財務諸表に反映されます。一方、連結法では親会社と子会社の財務諸表を合算して、グループ間での内部売上や内部利益を相殺します。

例えば、親会社が持分法適用会社の株式を30%保有している場合、親会社の財務諸表にその会社の財務諸表の30%を足し合わせます。子会社の株式を80%保有している場合は、親会社の財務諸表に子会社の財務諸表の全てを足し合わせ、残りの20%は被配株主分として控除します。

M&Aの基本概念

M&A(企業の合併・買収)は、企業が成長戦略の一環として他の企業を買収したり合併したりすることを指します。M&Aには買収と合併があります。買収には株式取得と事業譲渡があり、合併には新設合併と吸収合併があります。

株式取得は既存の会社の株式を譲り受けることで経営権を移転させる手法です。事業譲渡は既存の会社の一部の事業を譲り受ける手法です。新設合併は既存の複数の会社を消滅させ、新たに設立する会社に権利義務を集約させる手法です。吸収合併は既存の会社を消滅させ、他の既存の会社に権利義務を集約させる手法です。

M&Aの目的と戦略

M&Aの買手側の目的は様々で、同業種の事業M&A、関連事業のM&A、別事業のM&Aなどがあります。

同業種の事業M&A

  • 事業拡大戦略: 同じ事業の会社をM&Aすることで事業規模を拡大し、コスト削減や競争力向上を図ります。
  • エリア拡大戦略: ある地域で事業を行っている会社が他の地域へ進出するために、その地域の会社をM&Aする手法です。
  • ロールアップ戦略: 同じ事業の会社をM&Aして市場シェアを拡大します。

関連事業のM&A

  • サプライチェーン拡大戦略: 川上から川下までの関連事業を自社で受け負うことで、競争力を高めます。
  • ラインアップ拡大戦略: 価格帯や機能が違う商品を扱う会社をM&Aして、ターゲット層を広げます。

別事業のM&A

成長が見込まれる別事業を0から作るよりも、既存の事業を行っている会社をM&Aすることでスムーズにスタートできます。

譲渡金額の決定と将来価値

M&Aの際、譲り受け社は譲渡する会社に対価を支払います。この対価は現金や株式などで支払われることが多く、金額は会社同士の話し合いで決まります。譲渡金額は、現在の価値に将来価値を加えた金額が基本となります。

将来価値とは、今後も事業を行って得られる価値のことであり、譲渡金額と純資産のずれを「のれん」と呼びます。のれんがプラスの場合、将来の価値を資産として譲り受け会社の貸借対照表に計上します。逆に、のれんがマイナスの場合は「負ののれん」として特別利益に計上します。

のれんの会計処理

のれんが計上された際の会計処理には、国際会計基準(IFRS)と日本の会計基準があります。

IFRSの会計処理

のれんは資産として残り続け、最低年1回の減損テストが必要です。収益性が悪化した場合、減損処理を行い、資産価値を適正に修正します。

日本基準の会計処理

のれんは20年以内の任意期間で償却され、毎年の連償却が行われます。減損テストはのれんの減少の兆候がある時にのみ行われ、特別損失として計上されます。

利点と欠点

M&Aのプロセスや会計処理には、以下の利点と欠点があります。

利点

  • 事業拡大と市場シェアの拡大: M&Aを通じて事業規模を拡大し、市場シェアを獲得することができます。
  • コスト削減と競争力向上: 同業種の企業を買収することでコスト削減が可能となり、競争力が向上します。
  • 地域拡大: エリア拡大戦略を通じて、新たな市場に進出することができます。
  • 効率化: サプライチェーン拡大戦略を通じて、事業の効率化を図ることができます。

欠点

  • 高コスト: M&Aには大きな資金が必要であり、失敗すると大きな損失を被る可能性があります。
  • 統合リスク: 買収後の企業統合がうまくいかない場合、シナジー効果を実現できないリスクがあります。
  • のれん減損リスク: IFRS基準では減損リスクがあり、大きな損失を計上するリスクがあります。

関連する質問と回答

Q1: M&Aとは何ですか?

A1: M&Aは企業の合併・買収を指し、企業が成長戦略として他の企業を買収したり合併したりすることです。

Q2: 個別決算書と連結決算書の違いは何ですか?

A2: 個別決算書は会社単体の決算を示し、連結決算書は親会社とその子会社を含むグループ全体の決算を示します。

Q3: 持分法と連結法の会計処理はどう違いますか?

A3: 持分法は親会社の影響力に応じて部分的に財務諸表に反映し、連結法は親会社と子会社の財務諸表を合算して内部売上や内部利益を相殺します。

Q4: のれんとは何ですか?

A4: のれんはM&Aで譲渡金額と純資産のずれを指し、将来の価値を資産として計上するものです。

Q5: 日本基準とIFRSの違いは何ですか?

A5: 日本基準ではのれんを20年以内の任意期間で償却し、IFRSでは最低年1回の減損テストを行い、減損処理を必要とする場合があります。

この記事が皆さんの株式投資に役立つことを願っています。詳細を確認したい場合は、概要欄のリンクからホームページで確認してください。ホームページでは株式投資に関する動画や用語集もご利用いただけます。

Previous post 【2024年版】株式投資の心得: 売買サインを見逃すな!
Next post 【株式投資の銘柄分析】2024年最新決算短信サマリー情報