株で10億円を目指すために必要な知識を解説します。この記事では、割安株投資の銘柄分析について詳しく説明します。この記事の概要欄には、話した内容を文字で確認できるホームページのリンクが掲載されていますので、そちらもご覧ください。

授業の前に一つ留意点です。銘柄分析の説明は、私が普段行っている分析方法に基づいています。分析方法は人それぞれ異なる場合がありますが、私の分析を参考にしていただければと思います。

割安株投資の基本

割安株投資とは、企業の株価がその企業の実際の価値よりも低く評価されていると判断し、その株を購入する投資方法です。株式投資における有名なスタイルには、成長株投資と割安株投資があります。割安株投資は、成長株投資と比較してリスクが小さくリターンが大きい一方で、リターンを得られる確率が低く、銘柄を探す難易度が高いという欠点があります。

割安株投資は大きく2つに分けられます:業績バリュー投資と資産バリュー投資です。業績バリュー投資は業績に重きを置いた分析であり、資産バリュー投資は資産に重きを置いた分析です。これらの分析方法は若干異なりますが、共通して必要なことは企業の業績と財務が安定しているかどうかを確認することです。

業績バリューと資産バリューの違い

業績バリューと資産バリューの違いについて詳しく説明します。

業績バリューは、企業の業績によって資産が増えていくことを重視します。例えば、企業が毎年利益を計上し、その利益から配当などを引いた分が毎年増加する場合、その企業の資産価値は上昇します。このような企業の将来的な資産価値を株価が織り込んでいないと判断すれば、業績バリューとして投資対象になります。

一方、資産バリューは、企業の資産価値に注目します。例えば、企業の簿価と時価の差を確認し、時価の方が大きい場合、その企業の資産価値が株価に織り込まれていないと判断します。簿価と時価の差は、有価証券報告書を確認することで知ることができます。

業績と財務の安定性を確認する

割安株投資において、業績と財務が安定していることが非常に重要です。業績は基本的には毎年黒字であることが望ましいですが、単発的に赤字の年があっても問題ありません。

財務面では、以下の基準を満たすことが望ましいです:

  • 流動比率30%以上
  • 自己資本比率40%以上
  • 負債比率80%未満

また、キャッシュフローも重要です。営業キャッシュフローが直近2期連続でマイナスであったり、投資キャッシュフローが直近2期連続でプラスである場合は要注意です。分析が難しい場合は、その銘柄を避けるのが無難です。財務キャッシュフローは毎年マイナスの方が理想ですが、毎年プラスであっても自己資本比率が30%ギリギリでなければ問題ありません。

PBRの活用法

PBR(株価純資産倍率)は、株価がどれだけ業績や資産を織り込んでいるかを示す指標です。成長株投資ではPER(株価収益率)を使いますが、割安株投資ではPBRが重要です。

PBRが1倍割れしている場合、時価総額と会社の資産が同じになっている状態です。例えば、PBRが0.5倍の銘柄を購入して倒産した場合、出資した額の2倍が返ってくることになります。これを解散価値といいますが、解散価値はあくまで理論上のものであり、実際にはすぐに倒産するわけではないため、注意が必要です。

ROEとPBRの関係

ROE(自己資本利益率)は、純資産に対して企業がどれだけの利益を上げているかを示す指標です。ROEが高い企業は、純資産が増えやすく、将来的な資産価値が高くなるため、高いPBRが許容されます。

例えば、純資産1000万円の会社が毎年ROE 10%で無配当なら、1年目の当期純利益は100万円で純資産は1100万円になります。ROEが高いと純資産の増加速度が速くなり、将来的な資産価値が高くなるため、PBRが高く許容される可能性があります。

ROEを高める施策

ROEを高めるためには、利益を増やすか純資産を減らす必要があります。利益を増やす方法としては、成長させる、無駄をなくして効率を良くする、借入れを使って資本を増やすなどがあります。

一方、純資産を減らす方法としては、利益剰余金を減らすことが最も簡単です。利益剰余金を使って配当を分配するか、自社株買いをすることが多いです。このような施策によってROEが高められれば、PBRが高く許容される可能性があり、株価が上昇することが期待できます。

実際のROEを高めた事例

実際にROEを高めてPBRが高く許容された例として、ノエビアホールディングスの事例があります。ノエビアホールディングスは2016年までROEが一桁で推移していましたが、2017年から上昇し、現在は15%弱で推移しています。ROEが高まるとともにPBRも上昇し、現在は3倍を超えています。

業績バリューと資産バリューの第2段階分析

業績バリューと資産バリューの第2段階の分析について説明します。

業績バリューでは、業績を分析してROEがどれくらいになるかを予想する必要があります。第3段階でその分析を行いますが、第2段階以降の分析方法は別の記事で詳しく説明します。

資産バリューでは、時価の資産を算出することに重きを置きます。今後のROEの予想はそれほど重要ではありませんが、業績の変化を確認するために第2段階の分析を行うことが望ましいです。

利益確定のタイミング

割安株投資の利益確定のタイミングについて説明します。業績バリューも資産バリューも、割安であることが投資の条件ですので、割安でなくなった場合は投資の条件から外れます。すなわち、割安で買って割安でなくなったら売るということです。

確実に売るためにPBRが相場より少し安いところで売る方法もありますし、株価が行き過ぎる傾向があるため、相場より少し高いところで売る方法もあります。

関連する質問と回答

Q1: 割安株投資と成長株投資の違いは何ですか?

割安株投資は、企業の株価が実際の価値よりも低く評価されていると判断して投資する方法です。一方、成長株投資は、企業が将来的に大きな成長を遂げると予測して投資する方法です。割安株投資はリスクが小さくリターンが大きい一方で、リターンを得られる確率が低いという特徴があります。

Q2: 業績バリュー投資と資産バリュー投資の違いは何ですか?

業績バリュー投資は、企業の業績によって資産が増えることを重視する投資方法です。一方、資産バリュー投資は、企業の資産価値に注目し、簿価と時価の差を確認して投資する方法です。

Q3: 割安株投資において重要な指標は何ですか?

割安株投資において重要な指標はPBR(株価純資産倍率)です。PBRが1倍割れしている場合、企業の株価が実際の資産価値よりも低く評価されていることを示します。また、ROE(自己資本利益率)も重要で、ROEが高い企業は純資産が増えやすく、将来的な資産価値が高くなるため、高いPBRが許容されます。

Q4: ROEを高める施策にはどのようなものがありますか?

ROEを高める施策には、利益を増やす方法と純資産を減らす方法があります。利益を増やす方法としては、成長させる、無駄をなくして効率を良くする、借入れを使って資本を増やすなどがあります。一方、純資産を減らす方法としては、利益剰余金を使って配当を分配するか、自社株買いをすることが一般的です。

Q5: 割安株投資の利益確定のタイミングはいつですか?

割安株投資の利益確定のタイミングは、割安でなくなった時です。つまり、割安で買って割安でなくなったら売ります。確実に売るためにPBRが相場より少し安いところで売る方法や、株価が行き過ぎる傾向があるため相場より少し高いところで売る方法があります。

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